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生成AIと著作権の注意点|初心者が作品を出す前の確認手順

AI活用約3分で読めます

生成AIで作った画像や動画、そのまま使って大丈夫なのか。結論から言うと、AIを使うこと自体は違法ではありませんが、出来上がった作品が既存の作品に似ていれば、手描きと同じように著作権侵害になり得ます。判断の軸は「何を入力し、何が出てきて、どこで使うか」の3点です。

動画編集とAIのオンラインスクール YOUNIQS(ユニークス) の編集部が、著作権の基本の考え方、侵害になる条件、AI生成物の権利、公開前のチェック手順を順に解説します。

生成AIと著作権の関係は「学習」と「利用」に分けて考える

最初に押さえたいのは、AIと著作権の話は「AIが学習する段階」と「人がAIで作品を作って使う段階」で、ルールがまったく違うという点です。この2つを混ぜて考えると、話がかみ合わなくなります。

学習段階:著作権法第30条の4がカバーする範囲

日本の著作権法には、第30条の4という条文があります。著作物に表現された思想や感情を「味わう」ことを目的としない利用、たとえばAIの学習用データとして使うような場合は、原則として著作権者の許諾なしに利用できる、という内容です。

ただし例外があります。

条文には「著作権者の利益を不当に害する場合」は除くと書かれていて、特定のクリエイターの作風をそっくり出力させる目的で、その人の作品だけを集めて追加学習させるようなケースは、この例外に当たる可能性が指摘されています。文化庁が公表している「AIと著作権に関する考え方について」でも、この点が整理されています。

利用段階:普通の著作権ルールがそのまま適用される

一方、あなたがAIで画像を作り、SNSに投稿したり、クライアントに納品したりする段階は、AIを使っていない作品とまったく同じ基準で判断されます。「AIが作ったから自分は悪くない」という言い分は通りません。

初心者が気にするべきなのは、ほとんどがこちらの利用段階です。

著作権侵害になる2つの条件「類似性」と「依拠性」

利用段階で著作権侵害と判断されるのは、基本的に「類似性」と「依拠性」の両方がそろったときです。どちらか片方だけなら、侵害にはなりにくいと考えられています。

類似性:表現が似ているかどうか

類似性とは、既存の著作物の「創作的な表現」と、あなたの作品が似ているかどうかです。ここで大事なのは、アイデアや作風そのものは著作権で守られないという点。

たとえば「水彩風のやわらかいタッチ」「レトロなネオン配色」といったスタイルは、誰かが独占できるものではありません。問題になるのは、キャラクターの顔立ちや構図、具体的な描き込みなど、表現そのものが似ている場合です。

依拠性:既存作品をもとにしたかどうか

依拠性は、既存の作品を知っていて、それをもとに作ったかどうかを指します。偶然似てしまっただけなら、原則として依拠性は否定されます。

ところが、生成AIではここが少しややこしくなります。

  • プロンプトに作品名やキャラクター名、作家名を入れた
  • 既存の画像をそのまま読み込ませて(image to image)変換した
  • 特定の作品を再現する目的で作られた追加学習モデル(LoRAなど)を使った

こうした使い方をしていれば、依拠性が認められやすくなります。加えて文化庁の整理では、あなた自身がその作品を知らなくても、AIの学習データに元の作品が含まれていた場合には依拠性が推認され得る、という考え方も示されています。「知らなかった」が必ずしも盾にならない、ということです。

意外と見落としがちな「固有名詞プロンプト」

学び始めの時期にやりがちなのが、有名アニメのキャラクター名や人気イラストレーターの名前をプロンプトに入れて「〇〇風」を作ることです。個人で楽しむだけなら問題になりにくい場面もありますが、そのまま投稿したりポートフォリオに載せたりすると、類似性と依拠性の両方を自分で証明しているような状態になりかねません。

作品として外に出すつもりなら、固有名詞ではなく「色・光・質感・構図」といった要素の言葉でプロンプトを組み立てる習慣をつけておくと安全です。

AIで作った作品に著作権はあるのか

次によく出る疑問が、「自分がAIで作った画像に、自分の著作権はあるのか」という点です。答えは、人がどれだけ創作的に関わったかで変わります。

プロンプトだけでは著作物と認められにくい

著作権法でいう著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」です。AIが自律的に生成したものは、人の思想や感情の表現とは言いにくく、短いプロンプトを入れてボタンを押しただけの画像は、著作物と認められない可能性が高いと考えられています。

つまり、誰かにその画像を無断で使われても、著作権を理由に止められないかもしれません。

人の手が加わると著作物になり得る

逆に、次のような関わり方をしていれば、人の創作的な寄与があると判断される余地が出てきます。

  1. 構図や要素を細かく指定し、何度も生成と修正を繰り返して選び抜いた
  2. 生成した素材をPhotoshopやIllustratorで大きく描き足し、組み合わせた
  3. AIで作ったカットを素材の一部として、自分で構成・編集した動画に組み込んだ

特に動画やデザインの仕事では、AIの出力は「素材」で、最終的な作品は人が組み立てるもの、という形が多いはずです。その組み立ての部分に、あなたの著作権が生まれます。ただし、どこからが創作的寄与なのかは個別の事情で判断されるため、明確な線は引けないという点は覚えておいてください。

ここまでで法律の基本的な枠組みが見えてきたところで、次は法律以外に気をつけたいルールを見ていきます。

著作権以外にも注意したい3つのルール

生成AIのトラブルは、著作権だけで起きるわけではありません。むしろ実務では、利用規約や人の権利のほうでつまずくケースも目立ちます。

ツールごとの利用規約と商用利用の条件

同じ「画像生成AI」でも、商用利用の可否や、生成物の権利が誰に帰属するかはサービスごとに違います。無料プランでは商用利用不可、有料プランなら可、といった条件の差もよくあります。

  • 商用利用が認められているか
  • 生成物の権利の帰属先がどう書かれているか
  • クレジット表記が必要か
  • 規約の改定日がいつか

案件で使う前に、この4点は公式の利用規約で必ず確認しましょう。規約は改定されるため、以前読んだ内容のまま判断しないことも大切です。

肖像権・パブリシティ権

実在の人物、特に芸能人やインフルエンサーに似せた画像や動画を作ると、著作権とは別に肖像権やパブリシティ権の問題になります。声を似せる音声生成も同じ発想で考えたほうが安全です。

広告やサムネイルに使えば、本人が宣伝しているような誤解を招くおそれもあります。

商標・ロゴ・ブランド表現

生成された画像の中に、実在する企業のロゴや商品パッケージに似たものが紛れ込むことがあります。背景の看板や服の柄など、細かい部分ほど見落としがちです。商用のデザインに使うなら、拡大して隅々まで確認してください。


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作品を公開・納品する前のチェック手順

ここまでの内容を、実際の制作フローに落とし込むと次のようになります。公開ボタンを押す前、または納品データを送る前に、上から順に確認してみてください。

  1. ツールの確認:使ったAIサービスの利用規約で、商用利用と権利の帰属を確認する
  2. 入力の確認:プロンプトに作品名・キャラクター名・作家名・実在人物名を入れていないか、他人の画像を読み込ませていないか見直す
  3. 出力の確認:画像検索(Googleレンズなど)で、似た既存作品が出てこないか調べる。ロゴや文字の混入もチェックする
  4. 加工と編集:AIの出力をそのまま使わず、自分の手で構成・修正を加える
  5. 記録を残す:使ったツール名、プランの種類、プロンプト、生成日、加工の内容をメモしておく

5番目の記録は、トラブルが起きたときに「どのように作ったか」を説明する材料になります。地味ですが、効いてくるのはここです。

クライアントワークでは「AIを使ったか」を共有する

受託の仕事では、AIを使ったことを事前に伝えておくのが無難です。クライアントによっては社内規定で生成AIの利用を制限している場合もあり、後から分かると信頼関係にひびが入りかねません。

契約書や発注書に、生成AIの利用可否や、納品物の権利をどう扱うかを書いておくと、お互いに安心して進められます。

迷ったら「使わない」も選択肢

どうしても判断がつかない素材は、使わないのがいちばん確実です。商用素材サイトの有料素材や、自分で撮影・制作した素材に差し替えるだけで解決することも少なくありません。

初心者が生成AIと付き合うときの考え方

著作権の話を聞くと、AIを使うのが怖くなるかもしれません。ですが、ルールを知ったうえで使えば、生成AIは制作のスピードとアイデアの幅を大きく広げてくれる道具です。

大切なのは、AIに「作品を作らせる」のではなく、AIを「素材づくりや下書きの相棒」として使い、最後の判断と仕上げは自分が担うという姿勢。この考え方は、著作権のリスクを下げるだけでなく、クリエイターとしての腕を磨くことにもつながります。

法律やガイドラインは、AI技術の変化に合わせて見直されていく分野です。文化庁や各サービスの公式発表を定期的に確認する習慣をつけておきましょう。

独学でも基本は押さえられますが、制作の流れの中でAIをどう組み込むかは、手を動かしながら学ぶほうが身につきやすいという声もあります。AIを使った動画やデザインの学び方は、YOUNIQS(ユニークス)のはじめてガイドで紹介しています。関連する記事はAIカテゴリの記事一覧からも探せます。

参考情報(一次情報)

Q&A

生成AIで作った画像をSNSに投稿するのは違法ですか?

AIで作ったこと自体は違法ではありません。ただし、既存のキャラクターや作品に似ていて、その作品をもとに作ったと判断されれば、著作権侵害になり得ます。固有名詞を使ったプロンプトで作った画像の投稿は避けたほうが安全です。

「〇〇風」の絵柄で作るのは問題になりますか?

作風や画風そのものは、著作権では守られないと考えられています。問題になるのは、具体的な表現が似ている場合です。とはいえ、特定の作家名を入れて模倣を狙う使い方は、トラブルの火種になりやすいので控えるのが無難です。

AIで作った素材を有料の案件で使ってもいいですか?

ツールの利用規約で商用利用が認められていれば、使える場合が多いです。そのうえで、類似作品がないかの確認、クライアントへの事前共有、制作記録の保存をセットにしておくと安心です。

自分がAIで作った作品を真似されたら、著作権で守れますか?

プロンプトを入れただけの生成物は、著作物と認められない可能性があります。自分で大きく加工・編集した部分があれば、その部分は守られる余地があります。制作過程を記録しておくと、創作的な関わりを説明しやすくなります。

この記事の著者

YOUNIQS 編集部

動画編集ディレクター / 動画編集スクール運営

動画編集の現場知見と受講者サポートの経験をもとに、実務で使えるノウハウを発信しています。